FSI の主要ニーズに対応

金融サービス業界 (FSI) の機関は、取引やトランザクションをより高速に処理し、マーケット インテリジェンスに迅速にアクセスし、顧客体験を向上させつつ、TCO を低く抑え、システム管理を合理化し、セキュリティを無傷に保つ、そんな高性能のコンピューティング ソリューションを必要としています。AMD のソリューションが、銀行業務、資本市場、保険、支払いという FSI の主要 4 セグメントでこうした要請に応える仕組みを説明します。

 

性能

AMD 搭載のソリューションなら、FSI アプリケーションの超低レイテンシ、コアあたりの性能強化、業界をリードするアクセラレーション/コンピューティング オフロードを実現できます。

効率

AMD プロセッサ ベースのソリューションを採用することで、サーバー フットプリント削減の可能性が開けます。これにより、電力やコストの効率が向上し、サステナビリティ目標の達成に寄与します。

セキュリティとコンプライアンス

AMD プロセッサ搭載のソリューションは、リアルタイムのシステム メモリ暗号化やハードウェア ベースの保護など、最新のセキュリティ機能を土台として構築されており、機密性の高い金融データおよび取引の保護に貢献します。

ユース ケース

リスク管理とコンプライアンスのための HPC/グリッド

グリッド コンピューティングには動的なワークロード バランシング、高可用性、堅牢な並列処理が欠かせません。そのためには、シミュレーション実行を高速化し、アルゴリズムをより集中的に分析し、規制遵守およびリスク管理のための計算コストをできるだけ抑えられる、そんな高密度サーバー ソリューションが必要です。

AMD EPYC™ サーバー プロセッサ ベースのソリューションは、コアあたりのパフォーマンスとコア密度が非常に高く、大きな L3 キャッシュでデータをコアの近くに維持します。どれもリスク分析にとって理想的な機能です。また、AMD は、取引前のリスク評価や規制遵守を超低レイテンシで実行できるように開発された専用のアクセラレータ カード Alveo™ UL3524 も提供しています。

ビッグ データと AI

AI はあらゆる業界に革命を起こしており、FSI も例外ではありません。そこで必要となるのが、カスタマー チャットボット、自動融資、パーソナライズされた推奨事項、リアルタイムの不正防止など、堅牢な AI 駆動型機能に対応できるテクノロジです。

こうした機能のためには、大メモリ容量かつ高メモリ帯域幅のソリューションが求められます。AMD EPYC プロセッサと AMD Instinct™ アクセラレータを搭載したソリューションが、まさにそれを実現します。また、AMD は仲介や取引向けにリアルタイムの市場データを安定供給できるように設計された専用のアクセラレータ カード Alveo UL3524 も提供しています。

電子商取引

AMD 製品は、電子取引に最適な高いクロック スピードと、取引シミュレーションに最適なマルチスレッド処理能力に欠かせない高コア数を活かして、優れたパフォーマンスを発揮します。レイテンシの要件は、取引の種類に応じて異なります。AMD では、あらゆる要件に対応できるソリューションを用意しています。

超低レイテンシ取引

超低レイテンシが必須の自己勘定取引トレーダー、ヘッジ ファンド、取引所にとっては、ナノ秒 (ns) 単位のスピードで電子取引を実現する Alveo アクセラレータ カードが頼りです。

高頻度取引

高頻度取引では、高度な自動化アルゴリズムを使用して、一度に大量のトランザクションが実行されます。AMD Ryzen™ 7950X プロセッサと AMD Alveo™ X3 または AMD Solarflare™ X2 イーサネット アダプターを組み合わせると、市場データ環境のシミュレーションでネットワーク スタックの性能を測定する STAC-N1 ベンチマークにおいて、特筆すべきパフォーマンスを発揮します。ブログを読む

その他の取引形式

一部の電子取引には、こうした超低レイテンシや高頻度取引のシナリオで見られるよりも長いホールド期間が発生します。取引頻度が違えば、用いられる取引戦略も変わり、そのことは土台となるハードウェアにも影響します。第 4 世代 AMD EPYC ファミリにはモデル名の末尾に "F" の付いた高周波数 SKU があり、これを活用することでレイテンシに制約のある取引で競争上の優位性を確保できます。また、AMD Ryzen PRO プロセッサは、高度な演算機能でレイテンシを最小限に抑えており、アルゴリズム取引にも適しています。

従業員の生産性

刻々と変化する市場動向の要請に対応できるようにするため、FSI の従業員には生産性を最大限に高める業務システムが必要です。各人の潜在能力をフルに発揮させるためにも、従業員に最新のテクノロジを用意して実験、反復、革新を加速させましょう。

製品ポートフォリオ

AMD EPYC 9004

AMD EPYC プロセッサ

AMD EPYC サーバー プロセッサは、オンプレミスでもクラウドでも、FSI に適した処理能力の実現に大きく貢献します。EPYC プロセッサは卓越したパフォーマンスと電力効率、そして移行をシンプルにする x86 互換性を備えています。 

また、どの EPYC プロセッサも AMD Infinity Guard1 を搭載しています。ここには最新のセキュリティ機能がフル装備されており、ソフトウェアの起動時や実行時、重要データ処理時に発生する潜在的な攻撃対象の範囲が縮小されます。

AMD Alveo UL3524 and UL3422

AMD Alveo アクセラレータ

AMD Alveo 適応型アクセラレータは、金融市場特有の要件に対応しています。金融市場では往々にして、アルゴリズム取引、取引前のリスク分析、市場データ配信サービスをナノ秒 (ns) 単位のスピードで提供できるよう、低レイテンシ ネットワークとハードウェア アクセラレーションの融合が求められています。

Alveo X3522PV、Alveo UL3422、Alveo UL3524 は低レイテンシおよび超低レイテンシの取引向けのアクセラレータです。複雑さよりも取引実行のパフォーマンスが優先されるアルゴリズムに適しています。Alveo V80、Alveo U55C、Alveo U50 アクセラレータ カードの演算アクセラレータは、複雑な取引アルゴリズム、リスクや価格のモデル化、データ分析のために使用できるリソースを増やします。VCK5000 開発カードは AI エンジンを備えており、AI ベースの取引を確定的な低レイテンシで実現します。

AMD Instinct MI300x

AMD Instinct アクセラレータ

マトリックス コア テクノロジ採用の第 3 世代 AMD CDNA™ アーキテクチャをベースとした AMD Instinct MI300 シリーズ GPU アクセラレータは、負荷の極めて高い AI および HPC ワークロード向けに独自の最適化がなされています。オープンで実績ある AMD ROCm™ ソフトウェア スタックによってサポートされており、あらゆる規模の展開に対応できる幅広いエコシステム ツールが用意されています。

AMD Threadripper PRO

AMD Ryzen Threadripper PRO プロセッサ

AMD Ryzen Threadripper PRO プロセッサ搭載のワークステーションは、高いクロック スピードでパワフルなパフォーマンスを発揮し、高頻度取引に最適です。また、高コア数を活かして、金融シミュレーション ツールに求められる堅牢なマルチスレッド処理能力を提供しています。

AMD Ryzen™ PRO Processors

AMD Ryzen PRO プロセッサ

AMD Ryzen PRO プロセッサは、市場トレンドや取引データの分析、金融モデリング、アルゴリズム取引に求められる優れたパフォーマンスを発揮します。また、AMD Ryzen プロセッサは、業界に先がけてチップに AI エンジンを搭載しており、従業員の生産性の増大、セキュリティの向上、一部プロセスの自動化に貢献します。

取り上げたベンチマーク

Cinebench での AMD Ryzen PRO

AMD Ryzen PRO プロセッサ搭載のシステムは、Cinebench R23 nT ベンチマークの実行時に、競合製品よりも優れたパフォーマンスを発揮します。4

最大 2.4 倍

AMD Ryzen 7 PRO 7840 搭載の Lenovo ThinkPad Z13 Gen 2 は、Intel Core i7-1265U 搭載の Dell Latitude 7340 よりも最大 2.4 倍高性能4 

最大 76%

AMD Ryzen 7 PRO 7840 搭載の Lenovo ThinkPad Z13 Gen 2 は、Intel Core i7 1360P 搭載の Dell XPS 13+ よりも最大 76% 高性能4

Image showing AMD Radeon™ PRO W7900 Graphics Card

AMD Radeon™ PRO グラフィックス

金融データを通じて世界を見るなら、集中的な可視化を基に分析を通じて市場のインサイトを得ることが必要です。AMD Ryzen プロセッサ搭載のプロフェッショナル向けノート PC およびデスクトップに統合された AMD Radeon グラフィックスを活用すると、臨場感あふれるビジュアルや 4K ストリーミングが実現されるほか、高解像度ディスプレイやマルチモニターを駆使した最先端のセットアップに対応できます。

AMD Solarflare™ Ethernet Adapter X2541

AMD Solarflare イーサネット アダプター

AMD Solarflare X シリーズ イーサネット アダプターと、Onload™ ファミリのプロトコル アクセラレーション ソフトウェアの組み合わせは、世界中の主な銀行、商社、証券取引所、ヘッジ ファンド、マーケット メーカーに導入されてもう 15 年以上になります。その低レイテンシは現場で実証済みで、信頼性の高い運用と取引実行に最適化されたアーキテクチャを採用しており、10/25/40/100GbE リンク速度をサポートしています。

AMD の FSI システム パートナー

AMD のパートナーは、AMD のテクノロジを活用して実績のある製品とアクセラレーション ソリューションを提供し、クラウドまたはオンプレミスにおける複雑なシステムの生産時間を短縮しています。

ケース スタディ

BNP Paribas

BNP Paribas が、グリッド コンピューティング機能を最大 20% 強化しつつ、同じ演算能力について電力を最大 30% 節約した事例をご紹介します。*

Emirates NBD

Emirates NBD は、AMD EPYC プロセッサ搭載の HPE サーバーを使用して、パフォーマンスを最大 42% 向上させ、ソフトウェア ライセンス コストを最大 20% 削減しました。

DBS Bank

DBS は、AMD 搭載の Dell サーバーを導入することで、データセンターのフットプリントを従来の 4 分の 1 に縮小し、消費電力を半減させることに成功しました。

Higginbotham

Higginbotham は、AMD Ryzen プロセッサを使用することで、テクノロジが占めるスペースを削減すると同時に、必要なパワーとパフォーマンスを低コストで実現しました。

*パフォーマンスとコスト削減効果に関するすべての記載は、言及されている企業または組織から提供されたものであり、AMD が独自に検証したものではありません。パフォーマンスとコストの優位性は、さまざまな要因によって影響を受けます。ここに記載されている結果は各組織または企業に特有のものであり、一般的ではない可能性があります。GD-181。

リソース

お問い合わせ

AMD の営業に問い合わせ

脚注
  1. GD-183: AMD Infinity Guard の機能は、EPYC プロセッサの世代によって異なります。Infinity Guard のセキュリティ機能は、サーバー OEM および/またはクラウド サービス プロバイダーにより有効化されている必要があります。これらの機能のサポートについては、OEM またはプロバイダーに確認してください。Infinity Guard の詳細については、https://www.amd.com/en/technologies/infinity-guard をご覧ください。
  2. SP5C-001: 2023 年 8 月 13 日に Quantlib 1.30 ライブラリをベースにした AMD ベンチマークを使用してテストしました。この AMD ベンチマークは元の Quantlib ベンチマークとは異なり、したがって結果は比較できません。
    QuantLib 8400 タスクのベンチマーク比較を測定するテストを、AMD AOCC4.1 および oneAPI 2023.0.0 を使用した AWS EC2 M6 および m6a インスタンスの AMD 社内テストに基づき実施しました。記載されているクラウド パフォーマンスの結果はこの構成でのテスト実施日に基づくもので、クラウド サービス プロバイダーのオーバーヘッドを考慮した AMD 社内ベアメタル テストとの整合性が確認済みです。基本構成の変更、および VM とそのリソースの配置、クラウド サービス プロバイダーによる最適化、アクセスしたクラウド リージョン、コテナント、システムで同時に実行したほかのワークロードのタイプなどの条件によって、結果は異なります。AWS オンデマンド料金の出典: https://aws.amazon.com/ec2/pricing/on-demand/ (US-East 2)
    比較: AMD インスタンスと代替 x86 インスタンスでの演算性能/$ 向上コストの削減
    m6a.8xlarge vs m6i.8xlarge 32% 24.5%
    m6a.12xlarge vs m6i.12xlarge 30% 23.3%
    m6a.16xlarge vs m6i.16xlarge 46% 31.3%
    m6a.24xlarge vs m6i.24xlarge 16% 13.7%
    m6a.32xlarge vs m6i.32xlarge 41% 28.8%
    m6a.48xlarge vs m6i.32xlarge 14% 12.5%
    hpc6a.48xlarge vs m6i.32xlarge 216% 68.3%
    中央値 32% 25%
    平均値 56% 29%
  3. SP5C-002: 2023 年 8 月 13 日に Quantlib 1.30 ライブラリをベースにした AMD ベンチマークを使用してテストしました。この AMD ベンチマークは元の Quantlib ベンチマークとは異なり、したがって結果は比較できません。
    QuantLib 8400 タスクのベンチマーク比較を測定するテストを、AMD AOCC4.1 および oneAPI 2023.0.0 を使用した Azure Standard D-series v5 および HB120 v3 インスタンスに関する AMD 社内テストに基づき実施しました。記載されているクラウド パフォーマンスの結果はこの構成でのテスト実施日に基づくもので、クラウド サービス プロバイダーのオーバーヘッドを考慮した AMD 社内ベアメタル テストとの整合性が確認済みです。基本構成の変更、および VM とそのリソースの配置、クラウド サービス プロバイダーによる最適化、アクセスしたクラウド リージョン、コテナント、システムで同時に実行したほかのワークロードのタイプなどの条件によって、結果は異なります。Azure Pay-as-you-go の料金設定: https://azure.microsoft.com/en-us/pricing/details/virtual-machines/linux/#pricing。
    比較:  AMD インスタンスと代替 x86 インスタンスでの性能/$ 向上コストの削減
    Standard_D32as_v5 vs Standard_D32s_v5 29% 22.4%
    Standard_D48as_v5 vs Standard_D48s_v5 38% 27.8%
    Standard_D64as_v5 vs Standard_D64s_v5 22% 18.1%
    Standard_D96as_v5 vs Standard_D96s_v5 28% 21.6%
    Standard_HB120rs_v3 vs Standard_D96s_v5 172% 63.2%
    中央値 29% 22%
    平均値 58% 31%
  4. PHXP-70: AMD の委託を受けた BOXX Technologies による 2023 年 12 月 27 日のテストでは、次のシステムを使用しています。Intel Core i7 1365U プロセッサ、Intel 統合グラフィックス、16 GB RAM、256 GB NVMe SSD を搭載し Windows 11 Pro が動作する Dell Latitude 7340。Intel Core i7 1360P プロセッサ、Intel 統合グラフィックス、16 GB RAM、1 TB NVMe SSD を搭載し Windows 11 Pro が動作する Dell XPS 13+。AMD Ryzen 7 PRO 7840U プロセッサ、統合 Radeon グラフィックス、32 GB RAM、1 TB NVMe SSD を搭載し Windows 11 Pro が動作する Lenovo ThinkPad Z13 Gen2。次のテストを使用しました。Cinebench R23 1T、Cinebench R23 nT、3DMark Night Raid Graphics、Passmark 11 Overall、Passmark 11 CPU Mark、PCMark 10 Extended、Puget Adobe Photoshop、Puget Adobe Premiere。  PCMark および 3DMark は、UL Solutions の登録商標です。PC メーカーの構成によって、異なる結果が生じる場合があります。実際の結果と異なる場合があります。