

概要
広帯域スペクトラムの正確な観測が可能
レーダー、スペクトル解析、テストおよび測定アプリケーション向けの広い観測可能スペクトラムにおいて、柔軟、高精度、高速な信号解析を可能にします。
大規模 DSP 演算
使用頻度の高い厳選された DSP 関数をハード IP ブロックに実装することで、プログラマブル ロジックの使用率と消費電力を大幅に削減し、処理時間を短縮。
SWaP に最適化
高度な信号処理アプリケーションに不可欠な、最適化されたサイズ、重量、消費電力 (SWaP) で高速データ処理を実現。

RF 信号処理の高速化
プログラマブル ロジックを備えたシングル チップのアダプティブ SoC で、最高解像度の統合 RF サンプリング コンバーターを活用。1
モノリシック AMD Versal™ RF アダプティブ SoC は、SWaP 要件を満たすシングル デバイスとして、最新の航空宇宙および防衛、高度なテストおよび測定市場の要求の厳しい DSP ワークロードに高性能演算を提供します。
製品の特長
デバイス/パッケージごとに利用可能な機能の組み合わせについては、データシートの概要を参照してください。
RF エッジで大規模 DSP 演算を実現
AMD Versal™ RF シリーズは、NoC、AI エンジン、プログラマブル ロジック、柔軟な DDR など、Versal アーキテクチャの利点を活用し、広帯域スペクトラムの観測が可能な 18 GHz ダイレクト RF-ADC と RF-DAC、専用ハード IP コアをモノリシック ダイに追加することで、A&D およびテスト/測定アプリケーションの厳しい SWaP 要件を満たします。ハード IP ブロックには、4 GSPS FFT/iFFT、チャネライザー、多相任意リサンプラー、DVB-S/S2x コードをサポートする最新の LDPC デコーダーが含まれます。
主な特長
デバイス/パッケージごとに利用可能な機能の組み合わせについては、データシートの概要を参照してください。
ダイレクト RF-ADC および RF-DAC
Versal RF シリーズ デバイスには、14 ビット RF-ADC と RF-DAC (キャリブレーション付き) が統合されており、入出力周波数は 18 Ghz まで動作します。RF-DAC は最大 16 GSPS をサンプリングします。RF-ADC は 8 GSPS と 32 GSPS の両方のコンフィギュレーションをサポートし、広い観測可能スペクトラムを提供します。周波数の俊敏性は、統合されたコースおよびファイン ミキサーと設定可能な間引き/補間によって提供されます。16 個の RF-DAC と 16 個の RF-ADC (8 GSPS)、8 個の RF-DAC と 4 個の RF-ADC (32 GSPS)、16 個の RF-DACS と 8 個の RF-ADC (32 GSPS) など、RF-DAC と RF-ADC のいくつかの組み合わせが互換性のあるパッケージでサポートされ、スケーラブルなソリューションを可能にします。
信号処理用ハード IP ブロック
使用頻度の高い関数をハード IP ブロックに実装することにより、AMD ソフト ロジック実装2 と比較してダイナミック消費電力が最大 80% 削減され、物理的な占有面積も小さくなるため、全体的なサイズ、重量、消費電力 (SWaP) が低減されます。Versal RF シリーズに含まれる専用 IP は、一般的なユース ケースに応じて設定可能であり、標準的なデザインに必要なプログラマブル ロジック (PL) や DSP エンジンを大幅に削減できます。Versal RF シリーズには、次のハード IP ブロックの複数インスタンスが搭載されています。
FFT/iFFT
設定可能な 8 ポイント~ 4K ポイント、4 GSPS のハード FFT/iFFT ブロックにより、入力信号の高速スペクトラム解析が可能です。ポイント サイズの大きい FFT が必要な場合は、ハード FFT/iFFT ブロックの複数のインスタンスを PL と組み合わせることができます。
チャネライザー
多相フィルター バンク チャネライザーは、広帯域入力スペクトラムを狭いサブチャネルに分離し、入力信号の高速識別と特性評価を可能にします。複数のチャネライザー IP インスタンスをカスケード接続することで、信号特性評価の解像度と精度を高めることができます。ハード チャネライザー IP ブロックは、逆に、合成ツールとして使用することも可能です。さらに、チャネライザー機能 (16 ポイント FFT/iFFT) を使用しない場合は、チャネライザー IP を汎用フィルターとして使用することもできます。
LDPC デコーダー
Zynq™ RFSoC Gen 1 および Gen 3 に搭載されている SD-FEC の更新バージョンが、Versal RF シリーズ デバイスに含まれています。このバージョンの SD-FEC は LDPC デコードのみをサポートしますが、航空宇宙アプリケーションをサポートする DVB-S2/S2X 衛星コードが追加されています。このハード ブロックを使用することで、LDPC 前方エラー訂正を使用するシステムの LUT が大幅に削減され、消費電力が大幅に削減されます。注記: ターボ コードと LDPC エンコードは、専用 IP ではサポートされていませんが、ソフト IP コアとして利用できます。
多相任意リサンプラー
ハード多相任意リサンプラー IP ブロック (1 ≦ R ≦ 2) は、テストおよび測定アプリケーション用に提供されます。このハード IP ブロックは、一般的なフィルタリングにも使用できます。
プロセッシング システム
Versal RF シリーズには、デュアル コア Arm Cortex-A72 アプリケーション プロセッサとデュアル コア Arm Cortex-R5F リアルタイム プロセッサが搭載されており、多様なアプリケーション ニーズをサポートします。アプリケーション プロセッシング ユニットは、OS でサポートされる複雑なアプリケーションに最適です。リアルタイム プロセッシング ユニットは、低レイテンシ、確定的動作、リアルタイム制御を必要とするアプリケーションに最適です。3 つ目の、独立したプラットフォーム管理コントローラーは、システムの起動、セキュリティ、およびデバッグを管理します。
プログラマブル ロジックと I/O
プログラマブル ロジックにより、進化し続けるアルゴリズムに対応するカスタム演算ブロックの開発が可能です。さまざまなメモリ エレメントを備え、プログラム可能な I/O と緊密に結合されたプログラマブル ロジックは、あらゆるアプリケーションに対応できる強力なアクセラレータを実現します。
MIPI D-PHY を最大 4.5 Gb/s、C-PHY を最大 10 Gb/s でサポートするハイパフォーマンス X5IO は、柔軟性、リアルタイム処理、将来的な適応性を提供します。
DSP エンジン
拡張 DSP エンジンは、単精度および半精度の浮動小数点演算や 18x18 複素数乗算など、新しい演算やデータ型に対応します。AMD UltraScale+™ デバイス デザインとの下位互換性があるため、既存のライブラリや IP を再利用したり、デザインに変更を加えて新しいアーキテクチャで可能となった高度な演算能力を実装することも可能です。
Versal AI エンジン
Versal RF シリーズ アダプティブ SoC の AI エンジンは、リアルタイム DSP 演算用に最適化された第 1 世代の AI エンジンであり、決定論的な性能を提供します。
DDR5 & LPDDR5
ハード DDR メモリ コントローラーは、DDR5-6400 と LPDDR5X-8533 メモリ タイプおよび新しいインライン暗号化機能をサポートし、最大 136.5 GB/s のメモリ帯域幅を提供します。

その他の Versal アダプティブ SoC の機能

Versal RF シリーズ アダプティブ SoC 製品概要
RF-ADC、RF-DAC、ハード IP ブロックを搭載した Versal RF シリーズが、RF システムの単一チップ ソリューションをいかに低い SWaP で提供できるかについて説明します。



アプリケーションと業界
A&D 向けの電磁スペクトラム作戦の推進
電磁スペクトラム作戦 (EMSO) は、スペクトラムが混雑し、競合するようになるにつれ、その難易度が増しています。Versal RF シリーズは、高度に最適化されたモノリシック SWaP 効率の高いデバイスで、EMSO の機能に対応します。Ku バンドまで対応する 32 GSPS データ コンバーターと新しいハード IP ブロックを搭載した Versal RF シリーズは、Zynq UltraScale+ RFSoC の機能と Versal プレミアム シリーズの高 DSP 数を 1 つの Versal RF シリーズ デバイスに統合しています。


AMD Versal RF シリーズ アダプティブ SoC による広帯域信号解析ソリューション
モノリシック集積化された先進の DSP 演算と、最大 18 GHz で 32 GSPS のサンプリングを実行する高解像度 14 ビット データ コンバーターを搭載した AMD Versal RF シリーズは、半導体 ATE、航空宇宙および防衛、ベンチトップ機器、6G にわたり、幅広いテストおよび測定アプリケーションをサポートします。

製品仕様
RF データ コンバーター
VR1602 | VR1652 | VR1902 | VR1952 | ||
14 ビット、RF-ADC | ADC 数 | 16 | 4 | 16 | 8 |
最大サンプル レート (GSPS) | 8 | 32 | 8 | 32 | |
14 ビット、RF-DAC | DAC 数 | 16 | 8 | 16 | 16 |
最大サンプル レート (GSPS) | 16 | 16 | 16 | 16 |
AI エンジンとハード IP 機能
VR1602 | VR1652 | VR1902 | VR1952 | |
AI エンジン タイル | 126 | 126 | 120 | 120 |
LDPC デコーダー | 4 | 4 | - | - |
チャネライザー | 224 | 224 | 320 | 320 |
FFT/iFFT | 28 | 28 | 40 | 40 |
多相任意リサンプラー | - | - | 8 | 8 |
プロセッシング システムの機能
VR1602 | VR1652 | VR1902 | VR1952 | |
アプリケーション プロセッシング ユニット | アプリケーション プロセッシング ユニット デュアル コア Arm® Cortex®-A72、48 KB/32 KB L1 キャッシュ (パリティおよび ECC 付き)、1 MB L2 キャッシュ (ECC 付き) | |||
リアルタイム プロセッシング ユニット | リアルタイム プロセッシング ユニット デュアル コア Arm Cortex-R5F、32 KB/32 KB L1 キャシュ、および 256 KB TCM (ECC 付き) | |||
メモリ | メモリ 256 KB オンチップ メモリ (ECC 付き) | |||
接続性 | イーサネット (x2)、UART (x2)、CAN-FD (x2)、USB 2.0 (x1)、SPI (x2)、I2C (x2) |
プログラマブル ロジック機能
VR1602 | VR1652 | VR1902 | VR1952 | |
システム ロジック セル | 1,205,400 | 1,205,400 | 2,473,800 | 2,473,800 |
LUT 数 | 551,040 | 551,040 | 1,130,880 | 1,130,880 |
DSP58 | 2,256 | 2,256 | 3,976 | 3,976 |
メモリ、トランシーバー、インターフェイス
VR1602 | VR1652 | VR1902 | VR1952 | |
総 PL メモリ (Mb) | 156 | 156 | 189 | 189 |
DDR メモリ コントローラー | 4 | 4 | 4 | 4 |
GTYP トランシーバー | 12 | 12 | - | - |
GTM トランシーバー (56 G (112 G)) | 8 (4) | 8 (4) | - | - |
GTMP トランシーバー (56 G (112 G)) | - | - | 20 (10) | 20 (10) |
100G Multi-rate Ethernet MAC | 2 | 2 | 2 | 2 |
600G Ethernet MAC | - | - | 3 | 3 |
PL PCIe (Gen5x4) | 1 | 1 | 1 | 1 |
すべての開発者向け
AMD は、アダプティブ SoC および FPGA を使用した設計をサポートするソフトウェア開発環境を提供しています。これには、ツール (コンパイラ、シミュレータなど)、IP、およびソリューションが含まれます。
この環境を利用することで、ワットあたりの性能が高いデザインを短期間に構築できます。これらのツールは、アプリケーション エンジニアから、アルゴリズム エンジニア、エンベデッド ソフトウェア開発者、従来のハードウェア開発者に至るまで、あらゆる開発者が AMD アダプティブ コンピューティング ソリューションを活用できるようサポートします。

リソース

アーリー アクセス プログラム
Versal RF シリーズは、現在アーリー アクセスとなっています。アーリー アクセス プログラムについては、AMD の販売代理店へお問い合わせいただくか、「営業に問い合わせ」ページをご利用ください。
最新情報を入手
Versal アダプティブ SoC 通知リストに登録された方には、最新情報をいち早くお届けします。
脚注
- AMD の社内分析結果に基づいています。Versal RF VR1652 および VR1952 デバイスの ADC サンプル レート (GSPS) 仕様と、Intel Agilex 9 Direct RF シリーズ AGRW014 および AGRW027 FPGA の公開仕様、および ADI Apollo AD9084 および AD9088 デバイスのプレリリース デザインの仕様を比較しています。(VER-075)
- 2024 年 11 月時点での AMD エンジニアリング予測に基づいています。AMD Vivado 2023.2.2 IP カタログに準拠し、AMD Power Design Manager (2023.2.2) で測定した、AMD ソフト ロジック インプリメンテーションの総消費電力計算に対して、Versal RF シリーズ デバイスのハード IP 機能を使用してダイナミック消費電力を測定しました。(VER-080)
2024 年 9 月時点での AMD の社内分析結果に基づいています。Versal RF シリーズ デバイスが提供するチャネライザー モードでの理論上の DSP 演算能力 (ハード IP、AI エンジン、DSP を含む) と、前世代の Zynq UltraScale+ RFSoC Gen 3 の公開されている DSP 演算能力を比較しています。実際の性能は、構成、デバイス、設計などの要因によって変動する可能性があります。(VER-068)
ハード IP の消費電力は、2024 年 11 月時点で AMD エンジニアリング チームによる予測値に基づいています。ソフト ロジックの総消費電力は、Vivado 2023.2.2 IP カタログの情報に基づいて、AMD Power Design Manager (2023.2.2) を使用して計算しています。(VER-074)
2024 年 11 月時点での AMD の社内分析結果に基づいています。1 個の Versal RF VR1652 デバイス (シングル チップ) が提供する DSP 処理能力、AI エンジン演算能力、および RF サンプリング コンバーター機能に対して、4 個の Virtex UltraScale+ VU13P デバイス、1 個の Versal AI Core Series VC1702 デバイス、1 個の ADI ディスクリート AD9084 RF コンバーターが提供する同等の機能を比較しています。結果は、デバイス、設計、構成などの要因によって変動する可能性があります。(VER-077)
AMD Versal RF シリーズ デバイスの TOPS (Tera Operations per Second) は、最適なシナリオで 1 秒間に処理できる最大演算回数を表したものであり、標準値ではない場合があります。TOPS は、デバイス、設計、構成などの要因によって変動する可能性があります。(VER-084)
- AMD の社内分析結果に基づいています。Versal RF VR1652 および VR1952 デバイスの ADC サンプル レート (GSPS) 仕様と、Intel Agilex 9 Direct RF シリーズ AGRW014 および AGRW027 FPGA の公開仕様、および ADI Apollo AD9084 および AD9088 デバイスのプレリリース デザインの仕様を比較しています。(VER-075)
- 2024 年 11 月時点での AMD エンジニアリング予測に基づいています。AMD Vivado 2023.2.2 IP カタログに準拠し、AMD Power Design Manager (2023.2.2) で測定した、AMD ソフト ロジック インプリメンテーションの総消費電力計算に対して、Versal RF シリーズ デバイスのハード IP 機能を使用してダイナミック消費電力を測定しました。(VER-080)
2024 年 9 月時点での AMD の社内分析結果に基づいています。Versal RF シリーズ デバイスが提供するチャネライザー モードでの理論上の DSP 演算能力 (ハード IP、AI エンジン、DSP を含む) と、前世代の Zynq UltraScale+ RFSoC Gen 3 の公開されている DSP 演算能力を比較しています。実際の性能は、構成、デバイス、設計などの要因によって変動する可能性があります。(VER-068)
ハード IP の消費電力は、2024 年 11 月時点で AMD エンジニアリング チームによる予測値に基づいています。ソフト ロジックの総消費電力は、Vivado 2023.2.2 IP カタログの情報に基づいて、AMD Power Design Manager (2023.2.2) を使用して計算しています。(VER-074)
2024 年 11 月時点での AMD の社内分析結果に基づいています。1 個の Versal RF VR1652 デバイス (シングル チップ) が提供する DSP 処理能力、AI エンジン演算能力、および RF サンプリング コンバーター機能に対して、4 個の Virtex UltraScale+ VU13P デバイス、1 個の Versal AI Core Series VC1702 デバイス、1 個の ADI ディスクリート AD9084 RF コンバーターが提供する同等の機能を比較しています。結果は、デバイス、設計、構成などの要因によって変動する可能性があります。(VER-077)
AMD Versal RF シリーズ デバイスの TOPS (Tera Operations per Second) は、最適なシナリオで 1 秒間に処理できる最大演算回数を表したものであり、標準値ではない場合があります。TOPS は、デバイス、設計、構成などの要因によって変動する可能性があります。(VER-084)