AMD のコミットメント

AMD は AI イノベーションの未来を推進しています。

AI は、世界が抱えるとりわけ複雑な課題を解決し、気候研究、ヘルスケア、ライフ サイエンスなどの分野で進歩を可能にしています。AI の設計、開発、導入を一連の原則に則って実行し、これらのソリューションの信頼性を高めることが重要です。そのためには、制限付きのフレームワークを作成して、AMD とお客様が責任あるイノベーションを実践できるようにする必要があります。

AMD は、責任ある AI のフレームワークを開発しました。このフレームワークには、ユーザーの機密情報の保護とデータ プライバシーの維持という、AMD のコミットメントが示されています。また、システムの公平性やインクルージョン、透明性、信頼性、安全性といった問題、ならびに、人間中心の AI 設計を通じた人間の主体性の確保といった問題にも対応しています。AMD は社内で AI プロジェクトを実施するにあたり、責任ある AI 審議会を設置し、状況が急速に変化する中でのコミットメントの維持につなげています。

基本原則

プライバシーとセキュリティ

AI システム、モデル、データのセキュリティが確保され、プライバシーが尊重されています

人間中心

AI システムは、人権を尊重し、人間の利益に沿うように設計されています

公平性とインクルージョン

AI システムは、すべての人に力を与え、有害なバイアスを軽減するように設計されています

安全性と信頼性

AI システムは、一貫して安全でセキュリティが確保された動作が実証されています

透明性

AI システムには、明瞭さとオープン性があります

アカウンタビリティ

AI システムには、明確な責任と監査機能があります

説明可能性

AI システムによる意思決定は説明可能性が確保されています

サステナビリティ

AI システムは電力効率に優れています

NIST AI RMF は AI システムを次のように定義しています。「AI システムとは、所定の一連の目的に対して、現実環境または仮想環境に影響を与える予測、推奨、決定などの出力を生成できる、工学的または機械ベースのシステムを指します。AI システムは、さまざまなレベルの自律性を持って動作するように設計されています」

責任ある AI の推進

AMD は、AI のイノベーションを永続的に推進するための研究開発、製品設計、コラボレーションの推進に注力しています。

研究開発の推進

AMD は AI の研究開発イニシアチブに重点的に投資して、世界が抱えるとりわけ困難な課題解決に取り組んでいます。AMD の人工知能とハイパフォーマンス コンピューティング (HPC) 基金を通じて、研究者たちは、HPC および AI の先端研究を可能にする、20 ペタフロップスを超えるスーパーコンピューティング パワーを利用することが可能になっています。AMD は DeepSpeed4Science イニシアチブの創設パートナーです。大規模な科学的発見を可能にするこのプラットフォームは、Microsoft、アルゴンヌ国立研究所、オークリッジ国立研究所、ブルックヘブン国立研究所、コロンビア大学、その他機関が共同で創設したものです。AMD はまた、アレン人工知能研究所などの先駆的な組織とも緊密な連携を図っています。

AMD が AI 研究の推進を支援する別の方法が、世界最速クラスのスーパーコンピューターに搭載される AMD 製品で、たとえばローレンス リバモア国立研究所にある El Capitan 1 にも AMD 製品が搭載されています。初期プロジェクトの一つである CosmoFlow では、深層学習と従来の HPC シミュレーション手法を組み合わせることで、宇宙についてより深く探求し、より大規模に学習する能力を研究者に提供します。

製品設計の推進

AI が持つ可能性を最大限に発揮させるためには、膨大な演算能力が必要になります。それに伴い、電源に関する要求も大幅に増大します。AMD のソリューションなら、必要とされる演算リソースを電力効率に優れた方法で実現できます。私たちは、2025 年までに HPC および AI トレーニング向けのサーバーに搭載されるプロセッサとアクセラレータの電力効率を 30 倍に向上させるという 5 か年目標に向けて、着実に前進しています。この目標は、AMD Instinct MI50 GPU と AMD EPYC 7002 CPU を組み合わせた場合の電力効率のベースラインに基づくもので、2015 から 2020 年における業界トレンドの 2.5 倍の向上になります (全世界におけるこのコンピューティング分野の電力消費量から計算)。最新のパフォーマンス データでは、AMD Instinct™ MI300A APU を 4 基搭載した構成で、目標値に対して 13.5 倍の向上を達成しました。2

AMD はまた、Confidential Computing Consortium のメンバーでもあります。同コンソーシアムは、オープンソースのコラボレーションと標準化を通じて、コンフィデンシャル コンピューティング導入の加速を後押しするものです。最近、AMD は、暗号化された安全な仮想化を可能にするオープンソースのセキュリティ ファームウェアを発表しました

コラボレーションと標準化の促進

業界やコミュニティとのコラボレーションが責任ある AI の重要な要素である理由は、それによって透明性が向上するからです。また、最新の技術がより幅広く利用され普及することにもつながります。オープンソースのコミュニティは、AI イノベーションのスピードと拡大を推進する真の原動力です。だからこそ、AMD は、Hugging Face、PyTorch、DeepSpeed といったオープンソース イノベーターとも密接に協力して、ツールやライブラリなどを構築しています。

AMD はまた、公的政策に関する問題についても、業界の同業者と協力しています。たとえば、AMD は、Responsible AI InstituteNIST AI Safety InstituteAI Alliance をはじめとする業界コンソーシアムとの連携を通じて、責任ある AI の原則を提唱しています。

DeepSpeed, HuggingFace, and Pytorch logos

AMD の AI ソリューションの実例

AMD の AI ソリューションがどのようにして、社会に貢献する AI ユースケースをヘルスケア、気候変動、教育といった分野において推進しているのか、ご紹介します。

ヘルスケア

がん研究のための力

EuroHPC の LUMI スーパーコンピューターは、AI を使用してがんを早期発見し、薬剤の効能を迅速にシミュレーションしています。これにより、病理学者はがん増殖について診断し、各種治療に対する患者の反応をシミュレーションできるため、患者は自分に最も適したケアを可能な限り迅速に受けることができます。

ハンドヘルド型デバイスの HD 超音波スキャン

Clarius Mobile Health 社は、AMD Zynq™ UltraScale+™ テクノロジを使用して、医療従事者が AI による診断をより多くの環境で活用できるようにしています。以前は医療にアクセスできなかった遠隔地の患者の診断も可能になりました。

気候変動

気候研究

AI を使用して膨大で複雑なデータ セットを解析することで、科学者たちは気候変動の原因に関するインサイトを獲得し、さらには異常気象による影響を予測して命を救うことも可能になります。フランス気象局のスーパーコンピューターと LUMI スーパーコンピューターは、どちらも AMD を搭載し TOP500 リストに入るスーパーコンピューターで、気象と気候の研究を推進しています。1

学界および地域社会への働きかけ

より良い未来を共に創る

AMD は、研究者、非営利団体、教育者、学生との戦略的な関係を構築しています。彼らは、未来の画期的なイノベーションを創出できる立場にあります。たとえば、学生には探求心を後押しするテクノロジを提供し、科学者には可能な限りのことを責任をもって実行する環境を提供するなどの方法で支援しています。AMD は、プロセッシング パワーがブレイン パワーにマッチした時、未来が開けると信じています。

当社の目標と進捗状況

AMD が 2020 年に開始した寄付を基に、AMD と AMD 基金の慈善活動およびパートナーシップが実現する STEM 教育、科学研究、未来のワークフォースの育成から恩恵を受ける人々の数を 2025 年までに 1 億人にします。

2020 年以降、150 を超える大学、研究機関、非営利団体が、AI および HPC 基金と STEM イニシアチブによって供与された AMD テクノロジを受け取り、科学研究と教育を通じておよそ 6,100 万人の人々に恩恵をもたらしました。3

AMD ユニバーシティ プログラム

AMD ユニバーシティ プログラムは、大学が AMD テクノロジを教育、研究、その他の取り組みに利用できるようサポートしています。このプログラムにより、AMD の最新のテクノロジ、製品、ツールが学生、研究者、教育者に提供されます。

脚注
  1. TOP500 リスト、2023 年 11 月
  2. EPYC-030a: 計算には、1) セグメント固有の 2025 年の予測展開量と、GPU HPC および機械学習 (ML) のインストールを含むデータセンターの電力利用効率 (PUE) を含む、利用可能な調査とデータに基づいて、Koomey Analytics が実施した 2025 年のベース ケースの kWhr 使用予測が含まれます。2) AMD CPU および GPU ノードの消費電力に、セグメント固有の使用率 (アクティブ対アイドル) を組み込み、PUE を掛けて、ワット パフォーマンスを計算するための実際の総エネルギー使用量を決定します。13.5 倍という計算結果に使用した式: (2025 年のベース ケース HPC ノード kWhr 使用予測 x DGEMM と TEC を使用した AMD 2023 ワット パフォーマンスの改善 + 2025 年のベース ケース ML ノード kWhr 使用予測 x ML 数学と TEC を使用した AMD 2023 ワット パフォーマンスの改善)/(2020 年のワット パフォーマンス x 2025 年のベース ケース予測 kWhr 使用量)。詳細は、https://www.amd.com/ja/corporate/corporate-responsibility/data-center-sustainability.html をご覧ください。
  3. デジタル インパクトの目標達成期間は、2020 年 1 月 1 日から 2025 年 12 月 31 日までに開始された寄付が対象となります。"開始" とは、AMD と寄付先組織が AMD の寄付について合意に達することを指し、寄付は 2026 年 7 月 30 日までに実施されなければなりません。報告されたデータでは、AMD が寄付/供与したテクノロジ、資金、ボランティアに直接アクセスできる学生、教職員、研究者を直接受益者と定義し、AMD が寄付したテクノロジを通じて作成された研究データを受け取り、有用な知見や知識を得られる可能性が十分にある個人を間接受益者と定義しています。AMD は、直接受益者を推定するために毎年支援先組織を対象に調査を実施しており、AI & HPC 基金の場合は間接受益者も対象としています。調査回答におけるギャップや不整合に対処するため、AMD は経済ベースの影響想定を使用して、特定の年の寄付の市場価値総額を、同じ年の受給者調査から報告された間接受益者価値総額で割ることにより、間接受益者総数 (直接受益者には適用されない) を推定しています。このデータによると、入手可能な 3 年間のデータ (2021 年、2022 年、2023 年) の平均比率は 1.08 です。この計算結果から、AMD は、市場価値 100 万米ドルの寄付につき、約 108 万人が間接的に恩恵を受けると想定しています。また、AMD は、1 年目の間接的な受益者の年間推定数が、2 年目と 3 年目と増加し続けるものの、その割合は減少すると想定しています。影響減価償却率では、2 年目の受益者は 1 年目の推定値の 50%、3 年目の受益者は 1 年目の推定値の 25% と想定しています。この AMD 目標の算出は、受益組織から提供されたデータに基づくサードパーティによる検証 (限定的保証レベル) であり、AMD による独自検証は実行されていません。また、受益組織から提供されたデータに基づく AMD 経済効果モデルに基づいています。